『青野くんに触りたいから死にたい』作品紹介(あらすじ・みどころ)

漫画紹介(2巻以降)

漫画『青野くんに触りたいから死にたい』とは

題名:『青野くんに触りたいから死にたい』

作者:椎名うみ

出版社:講談社

掲載雑誌:月間アフタヌーン

掲載時期:2017年2月号~連載中

巻数:既刊8巻(2021/7/9現在)

『青野くんに触りたいから死にたい』第1巻あらすじ

 この作品のジャンルを端的に表すと「ホラー恋愛漫画」です。

 題名から推測できるように、主人公の「刈谷優里(かりやゆうり)」という少女が「青野龍平(あおのりゅうへい)」という同じ学校の少年に恋をします。

 恋愛漫画であれば2人が恋人同士になるまでの過程が描写されていくのですが、何とそこまでの過程は一瞬。

 開幕1ページで2人は出会い、わずか10ページ足らずで優里が青野くんに告白をします。

 そして青野くんの返事は「俺で良ければ」。

 2人が恋人になる早さに驚くのですが、この後更に衝撃の展開が訪れます。

 なんと青野くんが交通事故に遭って亡くなってしまうのです

出典 青野くんに触りたいから死にたい コミックス第1巻より

 ここまで実に15ページ。

文字だけで見ると読者が置いてけぼりになりそうなトンデモ展開と言えるのですが、むしろ先が早く読みたくなるような描写で圧巻されます。

 その後、優里には死者の青野くんが見えるというお決まりの展開になり、人間と幽霊の恋愛模様が描写されるかと思いきや、ここからがこの作品の面白い所。

 ある日、優里は何気無く「青野くんって憑依とかできたりしないのかな…」と呟きます。

青野くんは「そんなことしない」と返答するのですが、優里は「わたしで試してみる?」という言葉を発します。

その途端、青野くんの様子がおかしくなり…。

  優里と青野くんの甘くて切ない恋模様が描かれる一方で、可愛らしい画風からは想像できない恐怖…「恋愛ホラー漫画」という新しい作風がこの漫画の魅力です。

『青野くんに触りたいから死にたい』第1巻みどころ

①絵柄と反する恐怖展開

 ホラー漫画と言えば、幽霊が恐ろしい姿だったり、見開きで幽霊の顔がアップになっていたりと、読者を恐怖とともに驚かせてくれる漫画が多いように感じます。

 特に画力の高い作者だとその恐怖が増加しますよね。

 しかし、この漫画は表紙から見て分かるように、可愛らしくほのぼのとした画風です。

 『青野くんに触れたいから死にたい』という題名でなければ、ゆるっとした日常系の漫画にも見えるでしょう。

 このような画風ですから、「そんなにホラー要素は怖くないだろう」と私も思っていました……が、読後撤回をしました。

 「驚き+恐怖」ではなく、「おぞましさ+気味悪さ+恐怖」というタイプのホラー要素です。

 漫画の世界なのですが、リアルを想像させるような気味の悪さがあって、このタイプのホラー漫画が好きな人はハマると思います。

 実は、青野くんにはもうひとつの人格があり、もうひとりの青野くんは優里の中に入る(憑依する)ことを度々求めてきます。

 普段の青野くんは優里に優しく接してくれるため、急にもうひとりの青野くんへ豹変するときは背筋がぞっとすることが多いです。

 憑依を許してしまうと優里の身体にも悪影響が表れるのですが、怖いのはそこではありません。

 憑依後、優里は現実ではないどこかの場所(夢のような空間)に意識が飛ばされます。

 これがまた怖いんです…。

 現実世界ではないと分かっているからこその、「絶対にこの後怖いことが起きる」という緊張感。

出典 青野くんに触りたいから死にたい コミックス第1巻より

 緊張を最大に高めてからの、ゾッとくる展開…。

 これはこの漫画を読んでみないと分からない恐怖です。

②先の読めない恋愛模様

 先ほど紹介したように、この漫画のホラー要素は群を抜いているのですが、恋愛要素も作者の才能を感じさせる描写が展開されていきます。

 恋愛漫画と言えば、主人公の行動に共感したり、登場人物の魅力に惚れ惚れしたり、読んでいて幸せな気持ちになることの方が多いでしょう。

 しかし、この漫画の恋愛要素に私はあまり共感できませんでした。

 その理由をこの漫画の魅力とともに挙げていきます。

(1)主人公:刈谷優里(かりやゆうり)の行動

 あらすじで紹介したように、優里は開幕1ページで青野くんに恋をします。

 そのきっかけというのも、図書室に本を運ぼうとしていた優里にぶつかった青野くんが、お詫びに本を一緒に持ってくれたこと。

 その後、「初めて男の子と喋っちゃった……。わたしのこと好きだったりしたらどうしよう!?」と優里は青野くんのことで頭がいっぱいになるのです。

 ここまでは、恋に慣れておらず気持ちが先走りしてしまうような主人公なのだな、と理解できました。

 そしてすぐに青野くんに告白し付き合うことになるのですが、付き合って2週間で青野くんは死んでしまいます。

 それを知った優里は自室でカッターを使い手首を切ろうとするのですが…、私はこの優里の行動に共感できませんでした。

 好きになった理由も浅く(初恋なので多少の盲目はあるでしょうが)、たった2週間の付き合いで後追いを選ぼうとしている。

 その2週間の恋愛模様さえ全く作中で描かれず。

 正直に言うと、何故そこまで惚れているのだろう、と読み手が疑問に思わざるを得ません

 ただ、優里という主人公のキャラがここで立つわけですね。

 読者を引き込む、という点に関しては素晴らしい入りだと思います。

 しかし、まだ共感できない行動が続きます。

 それは、「もうひとりの青野くん」を優里に取り込むことを優里自身が許可をすることです。

 この憑依には危険性があり、優里の身体にも影響が出てくることが後の展開で判明します。

 憑依の条件は、優里自身が憑依を受け入れる発言をすること。

 では、受け入れなければいいと思うでしょう。

 当然ながら私も思いました。

 が、青野くんの言葉に負けて優里が憑依を許してしまう場面が幾度か出てきます。

 その度に優里の行動にもどかしさを覚えるのですが、青野くんに対する優里の気持ちに嘘はないので、もやもやしながらも優里を応援してしまいます。

 優里は共感できるタイプの主人公ではないですが、読み手の気持ちを揺さぶる魅力的なキャラクターの1人なのです。

(2)青野龍平(あおのりゅうへい)の気持ち

 優里の恋人で、幽霊の青野くん。

 さわやかな見た目で、生前は周りから信頼されていました。

 優里がもうひとりの青野くんを憑依させることにも反対しており、優里のことをいつも心配しています。

 気持ちが暴走しがちな優里とは対称に、落ち着いた好青年のように見えます。

 しかし、青野くんにも腑に落ちない点があります。

 それは「なぜ優里の告白を受け入れたのか」ということです。

 優里が青野くんに告白したとき、青野くんは優里の名前すら知りませんでした。

 優里が青野くんを好きになったきっかけのことも覚えていない様子で、青野くんの反応も戸惑っている描写が続きます。

 これはリアルに置き換えると青野くんの反応に共感できました。

 しかし、その後青野くんは優里の告白を「俺でよければ」と受け入れるのです。

 前述したとおり、青野くんは交友関係も広かったように思います。

 さわやかな好青年が、なぜ名前も知らなかった優里と交際を始めたのでしょうか。

 告白された直後は戸惑っていた描写があったから尚更です。

 しかし、これにはきっと「何かしらの理由がある」と私は思っています。

 このように「読者が共感しにくい恋の始まり」だからこそ探求心がくすぐられ、2人の言動に引き付けられるのでしょう。

★最後に★

 ここまで『青野くんに触りたいから死にたい』の魅力をお伝えしてきましたが、正直言うとこの作品の魅力は文字だけでは伝わりにくいと思います。

 ホラー要素の気味悪さや、恋愛要素(人間関係)のもやもや感、その2つが絶妙なバランスで混ざり合い、「こんな漫画見たことない」と思わせてくれます。

 また、今後のメディア展開もされていくのではないかと少し期待しています。(個人的にはアニメより実写映画の方が作品の雰囲気に合っていると思っていますが…。)

 本当に今おすすめの漫画作品なので、騙されたと思って一度読んでみてください。

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